ドレカの泉

カーライフやクルマのメンテナンス、 お役立ち情報まで、クルマの話題を 中心にお届けします。

vol.258

2009年ダカールラリー閉幕

2009年01月21日 19:14|Dorecaスタッフ日記

20090119188211306_3.jpg  
 ↑観衆の声援に応えるロマ/クルス組
2009年ダカールラリーは1月18日(日)、アルゼンチンの首都ブエノスアイレス市内の多目的展示場「ラ・ルラル」でフィニッシュセレモニーを実施。競技期間14日、約9,000kmに亘る激闘の幕を閉じた。
チーム・レプソル三菱ラリーアートから新型競技車『レーシング ランサー』で出場したホアン・ナニ・ロマ/ルーカス・センラ・クルス(ともにスペイン)組は総合10位となり、新型ディーゼルエンジンを搭載したニューマシンはデビュー戦を勝利で飾ることこそ出来なかったが、今後のラリーや、新型車両の開発に向けて貴重なデータを収集した。
  20090119188221307_1.jpg
 ↑『レーシング ランサー』の三菱自動車チーム

ダカールラリー30年の歴史で初めてアフリカ大陸を離れ、南米のアルゼンチン/チリで開催された同大会。26回目の出場となる三菱自動車チームは前人未到の8連覇・通算13回目の総合優勝を目指して新型車両『レーシング ランサー』4台体制で参戦した。
約2年間をかけた開発プログラムを経て完成した『レーシング ランサー』は、実戦テストとして参戦した2008年10月のバハ・ポルトガルに於いてステファン・ペテランセル/ジャン・ポール・コトレ(ともにフランス)組がデビューウィンを飾るなど、順調にテストを重ねて今大会に臨んだ。

 しかし、初めて南米で開催されたダカールラリーの過酷さと度重なる不運もあり、厳しい戦いを強いられる展開となった。まず、新型ディーゼルエンジンの開発ドライバーとしても中心的な役割を担い、自身ダカールラリー3勝目の総合優勝を狙って今大会に臨んだ増岡浩は初日のSS(競技区間)で序盤はチーム最上位になるなど快走を見せるも、エンジン補機をベルトで駆動するためのプーリー(滑車)のボルトが破損するというまさかのトラブルで無念のリタイア。翌日にはペテランセルがSS2位タイムで総合3位に浮上し『レーシング ランサー』が持つ高いポテンシャルをアピールしたが、第6ステージでリュック・アルファンのコ・ドライバー、ジル・ピカール(ともにフランス)がスタック脱出作業中の突然の体調不良により病院に運ばれたため、リタイアを余儀なくされてしまう。
さらにペテランセルは第7ステージで、前日の転倒の影響によるエンジントラブルによりマシンがストップし戦列を去ることになった。これにより、前半戦を終えた時点で三菱自動車チームで競技を続けているのは、前半戦を通じて安定した速さを見せたホアン・ナニ・ロマ/ルーカス・センラ・クルス(ともにスペイン)組の1台となってしまった。

この厳しい状況の中で3台のフォルクスワーゲン勢に続き4番手で後半戦の戦いを始めたロマも、終盤戦の第12ステージで電気系統の不調によりマシンストップ。これにより大きく順位が後退するも、翌第13ステージでは、自身4輪では初となる、また、『レーシング ランサー』にとっても初めてとなるSSトップの座を勝ち取る。その後も最後まで落ち着いたペースで走り切り、総合10位でブエノスアイレスにゴールした。『レーシング ランサー』は、経験値が重要なウェイトを占めるクロスカントリーラリーの最高峰イベントで、デビュー戦とは思えない高いパフォーマンスを披露。今回の結果はチームにとってほろ苦いものとなったが、マシンやエンジンの熟成に向けた貴重なデータとノウハウが蓄積できた。

大会最終日となる1月18日(日)午前10時20分、2輪部門の最下位のライダーを先頭に、スタート前の車検会場としても使用したラ・ルラルに設けられたポディアムでの閉幕のセレモニーが始まった。朝方は曇りがちだった天候も昼までには晴れ間がのぞき、会場は多くの観客の声援とともに夏の南米らしい明るい雰囲気に包まれた。ホアン・ナニ・ロマ/ルーカス・センラ・クルスと『レーシング ランサー』は午後1時過ぎにポディアムに登壇。長い戦いのプレッシャーから開放された二人はゴール出来なかったチームメイトの無念を晴らすような笑顔で観客の声援に応え2009年ダカールラリーを締めくくった。

三菱自動車チームから4度目のダカールラリーに臨み、『レーシング ランサー』のデビュー戦で完走を果たしたロマは「正直に完走できて嬉しく思います。1台で戦っている時にはプレッシャーはありました。電気系のトラブルに見舞われ、順位を落としましたが、『レーシング ランサー』とニューエンジンにはトラブルも無く、マシンもとても良い感触でした。次はチームの中からかならずダカールラリーを制する仲間が出るのは間違いないと思います。最後に、僕が完走できたのもメカニックやエンジニア、そしてチーム全員のサポートがあってのこと、皆に感謝するとともに、完走した喜びを分かち合いたいと思います。」と、安堵の表情で2009年ダカールラリーを振り返った。

また、初日の不運なトラブルで戦列を去ることになったが、チームの激励のためポディアムを訪れた増岡浩は「今回の僕のトラブルはテストでは出なかった不具合であり、初日にこのようなトラブルに見舞われ、残念な結果となりました。しかし、今回のダカールラリーを通じて今後のために見えてきたこともたくさんあります。次に向けては、より信頼耐久性を向上させ、必ず勝利を掴めるよう、全力を尽くしたい」と将来を見据えて気迫を漲らせていた。

三菱自動車チームのドミニク・セリエス監督は「我々は、この大会を通じて多くの事を学びました。今回のロマの10位という結果は決して満足できるものとは言えませんが、ライバル達がこのレベルに達するまで数年を要した事を考えると、1年目で十分戦えるレベルになった『レーシング ランサー』の戦闘力の高さも確認できました。また、3台がリタイアした理由も、新しい技術が原因ではないことも確認しています。
我々は次に向けてすぐに準備に入ります。しかし、今日はライバル達、そして新しい南米でのラリーを成功させた主催者を祝したいと思います。来年もダカールラリーの歴史を刻む過酷で素晴らしいラリーが行われるものと確信しています。」と、いつも沈着冷静なセリエス監督であるが、今日は時おり悔しさを見せていた。

三菱自動車のモータースポーツ統括会社MMSPの中山修社長は「連勝を続けている時にはわからなかった勝つことの難しさや問題点がよく見えてきました。チームの体制見直しを含めて1年で(勝利を)取り戻すべく全力を尽くす覚悟です。ともあれ、ロマとルーカスはプレッシャーの中で、最後までよく頑張ってくれました。彼らの成長も大きな収穫です。今回は至るところで多くの方から三菱自動車チームに対する熱い声援を頂きました。三菱自動車チームのファンの皆様、そして三菱車のお客様に誇りに感じて頂けるよう、我々は頑張らなければと思います。我々はまた、モータースポーツを通じて三菱自動車、ひいては日本の自動車技術が世界一流であることを示す使命を持っていると思っています。それが日本の自動車産業を支えることにもなると思います。次回は必ず勝ちます」と、この戦いを振り返るとともに次に向けての闘志を表した。

なお、2009年ダカールラリーで完走を果たした競技車両は、4輪部門90台(出走177台)、2輪部門113台(同217台)、4輪クワドバギー13台(同25台)、カミオン(トラック)52台(同81台)、合計268台(同500台)。完走率は全体で53.6%(4輪部門単独でも50.8%)となり、前回大会と比べ完走率は低下(前回大会完走率58%、同4輪部門59%)したが、初めての土地であること、また悪天候など予期せぬアクシデントに見舞われたが、主催者の的確な判断により競技の変更が行われたため完走率は高い水準となった。


【最終総合成績(暫定)1月18日(日)STAGE 15終了時】


1位 G・ドゥビリエ(ZA)、D・フォンジツェビッツ(D)
VW・レーストゥアレグ2(T1-2/1位) 48時間10分57秒


2位 M・ミラー(USA)、R・ピッチフォート(ZA)
VW・レーストゥアレグ2(T1-2/2位) 8分59秒


3位 R・ゴードン(USA)、A・グライダー(USA)
ハマーH3(OP-1/1位) 1時間46分15秒

Topへもどる