門別競馬場がある日高地方は馬産地であると同時に、うまいものの産地でもある。とりわけ海産物の種類豊富なこと、美味なことこの上ない。
そんなフリをしておきながら、今回のテーマはそばなのだった(えっ?)。そばと言ってもただのそばじゃないんですよ。とにかく有名で、道内外から引きも切らずにそばっ食いが訪れるというのですよ。その名も「いずみ食堂」。
なんですか、テレビ番組に出てますます有名になっちゃったんですってね。
この店、とにかく駐車スペースが多い。店の前、店の脇、道路をはさんだ向かいの区画にもある。それだけ客が訪れるということなんでしょうね。
昼時ともなると店の外まで行列ができるほどの人気ぶりだそうだが、訪れたのは中途半端な午後15時過ぎ。それでも店内には何人かお客さんがそばをたぐっている。
奥の座敷に通される。
こうして見ればふつうのそば屋の座敷みたいだけれど、ふと目を転じれば
なんだか田舎のばあちゃんの家に遊びに来た気分になってくる。
「いずみ食堂」のそばは極太の田舎タイプと聞いてきたので、シンプルにかけそば¥600を注文。するとこんなん来ました。
同行者のひとりが頼んだもりそばはこんな感じ。
極太・色黒・不揃いなそばたちなのだ。
不揃いなそばをすするとズルズル、というよりフニフニ、ホヨホヨの口当たり。噛むとブリッとしたコシがあり、やや薄口のだしと相まって洗練とはほど遠いがなんともなつかしい味わい。どうしてこういう個性的なそばになったのか、ご主人に聞いてみた。
「いずみ食堂」の始まりはご主人の母上が始めた小さな食堂で、メニューも定食が中心だった。そのころ母上が近所の主婦にそば打ちを習ったのだが、その方が四国は讃岐の出身だったため、麺の打ち方がうどんのそれであり、そば打ちにつきものの菊練りだのへそ出しだとのいった繊細な技法とは無縁の、家庭の台所にあるボウルやめん棒を使うやり方だった。そんな母の味が素朴で味わい深いと評判になり、いつしか定食メニューは消え、「いずみ食堂」の名はそのままにそば屋に鞍替えしたのだそうな。
現在のご主人は、公務員の職を辞して母の店を継いだという。
「ぜんぜん特別なこともしてないし、こだわりなんかありません。母親のそばを食べたいっていうお客さんがいるから、作り続けているだけです」
朴訥とした口ぶりに誠実な人柄が現れる。なるほど、「いずみ食堂」の人気はそばもさることながら、ご主人の温かい人柄にもありと見ました。
そば粉もだしも産地にこだわり注文を聞いてからおもむろにそばを打ち始め、ぽっちり上品に盛られた香り高いそばも良い。だがしかし、これから門別競馬場へいざ出陣という向きや、タタカイ敗れて軽くなったサイフで空腹を満たそうという向きには、こんな素朴であったかいそばが良い。地方の町でこういう店が繁盛しているのを見ると、なんだかうれしくなる。時代が変わっても、いずみ食堂の母の味を求める客は続くのであろうな。ぜひとも続いてほしい。
● いずみ食堂
日高町緑町41-22/01456-2-5302
11:00~19:00/不定休
![Doreca[ドレカ] 車選びの総合メディア](http://kuruma.hokkaido-np.co.jp/common_img/header/header_logo.gif)









