203*ごとごとことりっぷ2

2011年05月18日 14:00|クルマであるく

   さいはての駅に下り立ち 雪あかり さびしき町にあゆみ入りにき

と、石川啄木が詠んだ釧路の春は、寒かった。

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 冷たい潮風が吹きすさぶ中、釧路といえば魚だろう、魚といえば海だろう、ととりあえず海方面をめざす。するとありました、フィッシャーマンズワーフMOO。ここの2Fに屋台村があり、釧路在住の知人がしばしばここでゴハンを食べているらしいのだ。知人は某通信社の記者で転勤続きの人生を送っているが、釧路の魚があまりにもおいしくて「このまま転勤しないで永住したい」とのたまうほど釧路を愛している。その彼が足しげく通う店が屋台村の中にあり、そこは寿司屋が経営しているとかで、旬ともなれば釧路名物サンマはもちろんシシャモやカラスハモ、タラも刺身でイケるという。本社社長の接待にも使うことがあるほどだそうだから、モノは確かに違いない。
 というわけで鼻息も荒くMOO2Fへ。おお、ありました、屋台村「港の屋台」。

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 しかし、なんということだ! めざした店を含めて屋台村の半分ほどの店が「本日休業」の札を下げているではないか!
 察するに連休まっただ中、市場が動いていないため魚が入荷しなかったのであろう。しかし連休ですよ? 連休に休むとはなあ……。
 とりあえず手近な店のカウンターに座ってビールとオススメの焼き牡蠣を頼んだものの、牡蠣の季節を過ぎたせいかずいぶん身が小さい。うーむ、モヤモヤする。このままホテルに帰るのはしのびない。
 というわけで次行こう次。「蒐(しゅう)」という居酒屋に一見で飛び込んだ。するとこれが当たりだったんですねえ。寿司屋と見まごうカウンターケースの中にはツヤツヤ、ピカピカの海鮮がずらり。

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 どうして最初にここに来なかったんだ! と我が身を責めつつ日本酒を注文。もちろん釧路の地酒「福司」でございます。

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 なんだろうコレ、と興味津々で頼んだ「たんたかの刺身」。

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 店主は「カレイだよ」とこともなげに言い、価格もわりとお手頃だったので頼んでみたところ、こりこりしていて、噛みしめるとじんわり脂が口中に広がって、なんとも日本酒によく合う。気になってあとで調べてみたところ、たんたか=松川ガレイであった。うわあ、近ごろ高級魚で有名なアレじゃないですか! まさにおねだん以上。
 さらに、これまで秋に釧路で行われていた調査捕鯨が震災の影響で春にも実施されることになったということで、話題のクジラを刺身でいただく。

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 これがまたうまかった。やわらかくて脂が少なくさっぱりしていながら、赤身特有の深い滋味がある。札幌にいるととてもじゃないが自分のサイフで食べられるシロモノではないが、さすが釧路。これまたおねだん以上の価値であった。シーシェパードがヤイヤイ言ってもクジラは日本の立派な食文化だ。食べられるものならどんどん食べてやるぞ。
 いい感じのほろ酔い加減で、2杯目は同じく道東・根室の地酒「北の勝」をオーダー。すると店主が「これ、はじっこだけどよかったら」と皿を差し出した。

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 たまたまカウンターに他の客がいなかったのと、こちらが観光客と見てとったからであろう、他のオーダーの海鮮巻きの、本来なら切り落としてしまうはじっこをサービスしてくれたのだった。なんて素敵なマスター(急に呼び方が変わる)、ありがとうございます。
 遠慮なくはじっこ寿司をいただきながら、カウンターをはさんで地元のよもやま話に花が咲き、〆にふたたび「福司」を頼んだころには、私はすっかり釧路が好きになっていた。
 石川啄木は釧路の酒と肴を楽しまなかったのであろうか。もしもこの美味を知っていたならば、もう少し明るい歌を詠んでいたのではなかろうか。

● 居酒屋 蒐
釧路市川上町4丁目1-1
 0154-31-0653
18:00~翌3:00/日曜定休

佐々木美和

佐々木美和

札幌在住のコピーライター。運転免許はもちろんゴールド(ただしタイヤ交換すらできません)。近ごろクルマとは週末のお買い物や旅先のレンタカー、助手席もしくは後部座席でライトなおつきあい。ですが、クルマのお出かけは大好きです。

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