北広島市というマチはちょっと気の毒なマチだ。札幌のベッドタウンという位置付けによって急速な人口増加を見たものの、ベッドタウンであるがゆえに住民自身に “ほぼ札幌”という意識が醸成され、“札幌に近いけれど札幌ではない”個性を形成する機会を逸したように見える。ほんとはとっても住みやすくていいマチなんですけどね。
先日たまたま仕事で北広島市へ行く機会があり、そんなことをつらつらと考えていたのだが、だいじょうぶ、北広島市にもありました。個性もインパクトも十分、わざわざめざして行きたいお店が。国道274号線沿いに佇む、赤と金の看板もまぶしい「同福堂」。中国出身のご夫婦が営む中華料理店だ。
ご主人の母堂が北海道出身の中国残留日本人で日本に帰国。その後ご主人は母堂に呼ばれ、姉夫婦とともに北海道へやってくることになった。もともと「同福堂」は姉夫婦が営んでいた店で、ご主人は中国人の妻とともに別の場所で中華料理店を営んでいたが、姉夫婦の引退に伴い「同福堂」を受け継いだという。
この店のウリは、なんたって安くてボリュームたっぷりでおいしいこと。たとえばこれ。
麻婆豆腐定食500円。大皿いっぱいに真っ赤っかな麻婆豆腐がなみなみと盛られている。ふるふるとやわらかい豆腐を口に運ぶと、最初はふんわり甘く、すぐに豆板醤の辛さが追いかけてきて、花椒のしびれるようなピリピリ感がやってくる。
回鍋肉定食650円。じつは私は回鍋肉はあまり好きではないのだが、これはとてもおいしかった。キャベツと豚肉はきちんと油通しされていて甘みと旨みが引き出され、自家製甜麺醤のコクがあとを引いてご飯が進むことこの上ない。
酢豚定食700円。どうです、このツヤツヤ、テリテリの美しさ。野菜たっぷりで彩りもきれい。豚肉は薄切り肉をまとめて衣をつけて揚げているらしく、ふわっとやわらかな口当たり。甘さ控えめで酸味を効かせた甘酢あんは、キレがあってすっきりとした味わいでこれまたご飯が進む味。
どれもこれもボリューム満点なのは「中国ではたっぷり食べてもらうことがおもてなし。食べきれずに残すくらいがちょうどいい」からだと奥さんが教えてくれた。
中国の家庭の味ってこんなんなんだろうな、としみじみ思う。いま政治の世界では何かと問題が紛糾している日中関係だけれど、北広島に根を下ろした中国の味はじつに日本人に友好的だ。末永く頑張ってほしいと思う。
● 同福堂
北広島市西の里北1丁目1-28
011-375-4495
11:30~22:00 月曜定休
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