“彼”に初めて会ったのはちょうど1年前の冬だった。
毎年開催している札幌コピーライターズクラブ(SCC)のコンペティションの審査会当日。審査員を依頼していたはずの彼は、集合時間になってもなかなか姿を現さない。「どうしたんだろう……」私たち運営委員がそわそわしはじめたころ、彼はふらりと音もなく現れた。
「す、すみません……子どもの風邪がうつって……おなかに入ったらしくて……」
顔面蒼白、立っているのもやっとといった風情の彼。「無理しないでキャンセルしても構いませんよ」という私たちに、彼は「いや、ぜひ審査させてください」と言い切った。そして丸1日、真っ青な顔をときどき腹痛に歪めつつも一つひとつの作品を丁寧に読み、じっくりと考えながら票を投じ、的確な感想を述べて見事に審査員を務めあげた。
審査会が終了してひとしきり名刺交換が済んだあと、彼は「すみません……打ち上げはパスさせてください……すみません……」と頭を下げつつおなかを押さえつつ、よろよろと去っていった。音もなく出ては静かに去っていくユーレイのように。
彼の名前は岡田善敬くん。2008年度札幌アートディレクターズクラブ(SADC)グランプリを皮切りに、日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)新人賞、東京ADC賞など国内のデザイン賞を次々に受賞。ここ数年卓越した若手デザイナーを多数輩出している札幌の中でも、ひときわ注目されている新進アートディレクターなのだ。彼の出世作となったのが「オバケフォント」。目玉をふたつくっつけた白い布をまとったアルファベット・フォントで、発想のユニークさとかわいらしさは一度見たら絶対に忘れられない。
http://www.dioce.co.jp/obake/
SCCの審査会では病気ゆえご本人がユーレイのような様相を呈していたけれど、ふだんの彼はいたって健康的で何よりデザインが大好きでちょっぴりシャイな好青年である。余談だけれど、私と岡田くんは誕生日が同じなのです(トシは違うけどね)。
オバケの生みの親・岡田くんのデザインワークとオバケフォントはその後さらに進化を遂げ、ついにオバケグッズも販売スタート。
http://www.dioce.co.jp/shop/obake/top.html
そして今年に入り、昨年の東京ADC賞受賞を記念したエキシビジョン「オバケ! ホント? 展」を堂々開催! というわけで行ってきました。
会場にはパネル、モビール、チェア、こたつなどなどいろんなオバケがいっぱい。アルファベットはもちろん、風神雷神、阿吽像、恐竜といったおっかない風体の方々も、オメメのついた白い布をかぶればみーんなかわいいオバケになっちゃう。子どもの頃よく口ずさんだ
♪オバケなんてないさ オバケなんてウソさ♪
という歌を思い出しちゃう。だいじょうぶ、ここにいるのはぜんぜん怖くないオバケです。
作品展示のほかにも、好きな数字やアルファベットを選んでTシャツやバッグ、ロンパースなどに仕立てるオーダーコーナー、缶バッジのガチャガチャなどのお楽しみも。
ガチャガチャ、私はこんなん出ましたけど、なにやら“アタリ”が混じっているそうですよ。1回200円。
オバケといっしょに写真が撮れる撮影コーナーもあります。
撮影コーナーに入るときはオバケスリッパを履いてね。
ハイ、オバケ!
大人も子どもも楽しめる「オバケ! ホント? 展」は今週いっぱいで終了。運が良ければユーレイではない岡田くん+共催のイラストレーター倉橋さんのおふたりも会場で待っています。お急ぎあれ!
●東京ADC受賞記念「オバケ! ホント? 展」
1月16日(土)まで 11:00~20:00(最終日は17:00まで)
ほくせんギャラリー アイボリー〈ivory〉
(札幌市中央区南2条西2丁目 NC HOKUSENブロックビル4F)
入場無料
お問い合わせ:011-251-5100
http://www.dioce.co.jp/obake/exhibition.html
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