昨年の今ごろにも浦河へ足を延ばしたのだが、今年もひょんなことから浦河へ行くことになった。
私は趣味で八重山民謡を勉強しており、そのサークル仲間に浦河町在住者がいる。先月、彼の知人である愛知県在住の沖縄民謡唄者が「北海道でライブをやりたい」と打診してきたとのことで、それじゃあついでに八重山民謡サークルも前座で出演しませんか、とどんどん話がまとまり、気がつくと愛知・札幌・浦河という点が音楽の線で結ばれたという次第。まあ人の縁というのはなんとも不思議なものですね。
日曜日の早朝、サークル仲間N氏のクルマがお迎えにきてくれた。
諸事情につきN氏のお姉様のクルマをお借りしたのだが、これがなんとなんとMT車なのだ。うーむ、道中の運転を交替してあげたいのはヤマヤマだが、こりゃ私には無理だ。ごめんなさい。
昨今あえてMT車を運転するのはかなりのカーマニアと思われるが、N氏のお姉様の場合、平成13年に購入したこのホンダ・ドマーニの走行距離は5万km足らずというからむしろ逆。免許を取得して以来MT車しか運転したことがないため必然的に乗っているということらしい。それにしてもNさん、ふだんAT車なのにMT操作がスムーズですなあ。南平岸・HTB前の坂道も難なく発進。ところでギアチェンジってどういうタイミングでやるんだっけ?
「えっ! ミワちゃんMTで免許取ったんじゃないの?」
そうだけど、もう忘れちゃったよ。そもそもMTのしくみもよくわからないまま自学に通ってたくらいで、合格したのは奇跡なんだから。
「……よく『ドレカ』のコラム続いてるね」
クルマが登場しないクルマのコラムと言われてますから。ははは。あのー、どっかの空き地でMT練習させてもらえればコツを思い出すかもしれないよ。そしたら途中で運転交替できるしさあ。
「いや、大丈夫。オレが運転するから」
えー、でも往復ひとりで運転は疲れるよぅ。
「いやいやいや、大丈夫大丈夫。気にしないで」
どうやら「コイツにさわらせるとクルマを壊される!」と警戒されたようです。ちぇっ。
ともあれ、チョロチョロと寄り道しながら4時間あまりで浦河町に到着。今回の話をまとめてくれたサークル仲間で、浦河町の音楽愛好家の集まり「音楽座」メンバーのH氏のお宅でひと休みしたのち、昼食へ。これがまた相当インパクトの強いメニューに遭遇したので、食事に関しては次回にまとめますね。
さて、今回の主役は「沖縄民謡稲三会」愛知県支部長・稲嶺盛玄さん。ステージのサポートを務める奥様とともに、なんとクルマで来道された。金曜日に愛知県半田市を出発して本州を北上し、土曜日の午後に函館に上陸。その日の夜にライブを控えた札幌まで激走し、ライブ開始直前に会場に到着。ライブ終了後は夜を徹して浦河をめざし、新冠レ・コード館駐車場で2時間仮眠。浦河アエルの湯で朝風呂を浴びて、午後からのライブに臨むというタフぶり。にもかかわらず「札幌から遠いところをわざわざ来てもらってねぇ、運転大変だったでしょ」って、いやいやいや! おふたりのほうがずーっとずーっと遠いところをわざわざ、ですから!! もう脱帽。
そんなこんなで、われわれ八重山民謡サークル「いーやる」も音合わせの場でようやく曲目を決定(遅すぎ)。70名あまり集まった浦河町のみなさんに温かく見守られ、どうにか前座の責務を終えました。
「三線(さんしん)やってます」と言うとたいてい「あ~、『涙そうそう』とか『島唄』とかね」と言われてしまうのだが、私たちが取り組んでいる八重山民謡は沖縄民謡の中では非常にマイナーな部類に属する。石垣島以南の八重山地方の労働歌を起源としているので、衣装もご覧のとおり野良着をベースにしたデザインだし、発声法も発音も一般的にイメージされる沖縄民謡とは全く異なる。そんなマイノリティの音楽が浦河の人々に受け入れてもらえるのか、ちょっと不安でもあったのだけれど、浦河の人々はするりと受け入れ、楽しんでくださった。さらに稲嶺夫妻がまさに夫唱婦随のステージを繰り広げてくださり、ライブは大盛況のうちに幕を閉じた。沖縄から吹く南風を浦河のみなさんに少しでも感じていただけたなら、こんなに幸せなことはありません。
終了後に記念撮影。前列が稲嶺盛玄・良子ご夫妻。まるで夫婦漫才のように息の合った明るいおふたり、沖縄を舞台にした映画『ホテルハイビスカス』のスタッフとして知り合い、盛玄さんが良子さんに惚れ抜いてモノにしたという。ごちそうさまです。後列左からN氏(札幌市職員)、H氏(歯科医)、私の八重山民謡サークル「いーやる」。久々の舞台で疲労困憊、放心状態。ちなみに「いーやる」とは八重山方言で「伝える」「贈る」の意味。八重山民謡の魅力を北海道に伝えたい、たくさんの人の心に届けたい、という願いがこめられています。
ところでわたくし、沖縄出身の盛玄さんに「沖縄のヒトと間違えられるでしょう。ボクと同じニオイがしますもん」と言われてしまいました。ええ、顔のつくりがクッキリ南方系なおかげで、沖縄で観光客に道を訊かれること一度ならず。いやもちろん正真正銘の道産子なんですが、もっと唄三線に精進して、またいつか浦河に来たいと思います。浦河地方巡業お楽しみ旅は、次回ヘ続く。
![Doreca[ドレカ] 車選びの総合メディア](http://kuruma.hokkaido-np.co.jp/common_img/header/header_logo.gif)









