北海道新聞 ドレカは札幌圏や北海道内の有力カーディーラーが参加している、北海道新聞運営の中古車検索サイトです。
Doreca 北海道新聞[ドレカ]クルマえらびの総合メディア
晴れ、ときどき、クルマ。
クルマにはあまり詳しくはないけれど、 クルマのある日々の 小さなつれづれ、綴ります。
前後の記事
- Vol.105
- 湯けむりが目にしみる
- Vol.107
- 続・トイレとスズキ
カテゴリー別
プロフィール

佐々木美和
札幌在住のコピーライター。運転免許はもちろんゴールド(ただしタイヤ交換すらできません)。近ごろクルマとは週末のお買い物や旅先のレンタカー、助手席もしくは後部座席でライトなおつきあい。ですが、クルマのお出かけは大好きです。
vol.106
トイレとスズキ
2009年05月18日 12:51|つれづれ雑記
トシがばれてしまうけれど、私は1990年代のバブル絶頂期に大学を卒業した。
もちろん就職は超売手市場。企業説明会に出席すれば内定がもらえる、なんて話もゴロゴロしていた。
たいていの学生は4年生の4月から企業訪問を始め(「就活」なんて言葉はなかった)、夏休みあたりには内定をいくつか確保してバイトに明け暮れ、秋以降は卒業旅行で海外豪遊、なんて人も珍しくなかった。ひと足先に社会人になった短大生で、入社2ヵ月で辞めて別の会社に入った女の子がいたが、辞めた理由が「社内の雰囲気が地味なんだもん」という話もさして驚くことではなかった。いまどきの若い人が聞いたら呆れるかもしれないけれど、日本にもそういう時代があったんですよ。
もっとも、私はそういう恩恵をまったく受けないまま社会人になった。できれば大学に居着いたまま、好きな本を読んだり論文を書いたりしながらヌクヌクしていたい──モラトリアムまるだし学生だった私は、就職活動というものをほとんど放棄していた。とはいえ大学に行かせてくれている親の手前もあり、就職活動をしている素振りを見せなければならず、いくつか企業説明会に出席してみたものの、「会社員」として社会に存在している自分をうまく想像することができず、説明会のあとの個人面接で呼ばれる前に帰ってしまうというていたらくだった。
まあ私自身が社会不適応学生だったわけだが、それプラス「そんなに簡単に就職できる社会ってなんだかアヤシイ」という気持ちがあったのも事実だ。会社に自分の人生を預けること、あるいは会社がひとりの人間の生活を引き受けることって、たかが数度の説明会と面接くらいで決められるほど軽いものじゃないんじゃないの、と自分の中のどこかで警鐘が鳴っている気がしていた。いやいや当時はそんなに深く考えていなかったけれど。
ま、そんなことをグダグダいいながら、その後私は公務員としてなんとか社会にもぐりこみ、その後現在の仕事に転職し、こうして好きな文章を書かせてもらってどうにか生きているわけだが、結局「会社」というものをよく知らないままこのトシになってしまった。公務員時代に働いていたのは学校だったし、現在の職場も一応「会社」だが構成員は私と社長の2名、それぞれが自分の仕事を切り回しているので業務内容や社内の雰囲気はフリーとほとんど変わらない。取引先の広告代理店や取材先の一部上場だの外資系だの地元の中小企業だの、おおそうだ北海道新聞社だって身近で見聞しているが、実際に働いてみないとリアルな「会社」ってわからないですもんね。
そんな私が、改めて「会社」について考えさせられる本を、ここ最近立て続けに読んだ。
左: 『俺は、中小企業のおやじ』/鈴木修
日本経済新聞出版社 ¥1,700+税
右: 『トイレのポツポツ』/原宏一
集英社 ¥1,260
左の筆者はそうです、スズキの名物社長です。奇しくも5月11日にスズキは2009年3月期の連結決算の最終損益で前期比65.8%減の274億円の黒字となったことを発表。その翌日に日産自動車が最終損失2337億円の赤字決算を発表して明暗を分けたのも記憶に新しく、本の内容はなかなか興味深いものがありました。鈴木社長が育ててきたスズキという「会社」、そしてもう一冊『トイレのポツポツ』で描かれる「会社」について書いていこうと思ったのだが、わあもう字数がいっぱいだ。若い頃の思い出話が長過ぎた。というわけで次回へ続く。