「世界のCMフェスティバル」は、休憩をはさんで3時間以上という長丁場。最初のうちこそ制作した国やクライアント企業も含めて内容をしっかり記憶しているものの、後半になってくると座りっぱなし・観っぱなしの疲労が蓄積してグッタリしてくる。さしずめ「CM酔い」とでもいうのか、食傷気味になってくるのですね。面白いなー、という気分だけが残ってクライアントはすっぽり抜け落ちる。
前回書いたアウディのCMなどは前半に上映されたため記憶も鮮明だったのだが、後半に上映されたクルマのCMはまさにそのパターンだった。
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アメリカ人とおぼしき若いコメディアンと、白衣を着た初老の男。
コメディアンはおどけたしぐさで音楽に合わせて踊りながら、初老の男に向かって呼びかける。
「さあリズムに乗って! 楽しく楽しく! アハハ~」
コメディアンの見よう見まねでぎこちなく体を動かす初老の男。その体はまったくリズムに乗れず、その顔はニコリともしない。
異質なふたりの背後にカメラが移動すると、そこには1台のクルマ。その周囲に佇むのは、初老の男と同じ白衣を着た生真面目そうな男たち。そしてキャッチコピー。
「ドイツ人は、真面目です」
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もしかしたら「ドイツ人は、軽薄ではない」だったかもしれないが、まあともかくそうです、これもまたドイツ車のCMだったのです。ドイツ人=質実剛健・クソ真面目、というイメージは、本国の自己認識も含めたグローバルスタンダードなのだなあ、と笑ってしまった。そして比較されるのは明らかにアメリカ人を揶揄した恰好の軽薄なコメディアン。海外のCMってこういう比較手法をよく使うのだが(日本人はいまだに目が細くてチビ、という表現で描かれる)、軽快なリズムに乗って踊ることもできないドイツ人を自ら軽く揶揄することで毒が薄まっている感じ。うまいなあ。
と感心したのはいいものの、このCMのクライアントが記憶からこぼれ落ちている。ハテ、アウディだったかBMWだったか、はたしてポルシェかおベンツ様か……。またしてもYou Tubeで探してみたけれど、見つからなかった。
ただし、You Tubeでドイツの自動車メーカーのCMをいろいろ観ているうちに、なんとなくそれぞれの傾向が見えてきました。
アウディ。前回紹介したミニチュアシュナウザーのほかにも、こんな犬バージョンが。か、かわいい!!
しかしこの、商品とは無関係に犬を使う手法って、日本の某携帯電話会社の“お父さん”に通じるものがありますね。
http://www.youtube.com/watch?v=YM4sKMCpgYo
一方で、こんなに端正で洗練された作品も見せてくれる。
アウディってたぶん広告表現をとても大切にしている企業だと思う。ほかにもアウディの作品をいくつか観たけれど、どれも表現の幅が広くてイメージが多彩でクオリティが高い。見習いたい。
http://www.youtube.com/watch?v=GStcrh43yXQ
http://www.youtube.com/watch?v=9YKH6eX-CJI&NR=1
BMW。ラブリーでスタイリッシュでチャーミング! BMWならではの走りの魅力を広告的に見せながら、ストーリーとしての見せ方も忘れない。
http://www.youtube.com/watch?v=QXPTf_KWJvo
これもまたBMW自慢の「駆け抜ける喜び」「なめらかで繊細な走り」をセンスよく表現している。こんなの日本では「よい子は真似しないでね」的に却下されちゃうんだろうなあ。BMWって、ライフシーンが見えやすい作りなのにとってもオシャレでカッコいい。
http://www.youtube.com/watch?v=SE_OLPq7dXY&feature=PlayList&p=C27D484FCC905F21&index=16
http://www.youtube.com/watch?v=N8wAQHIMhGg&NR=1
メルセデス・ベンツ。これはメルセデスとしてはたぶん頑張ってカジュアルダウンしたんだろうと思う。でもなんとなく全体的に真面目な感じ。でもでも、日本版のベンツのCMはもっともっともっと真面目です。
http://www.youtube.com/watch?v=VsiUiO1luGQ
フォルクスワーゲン。最初に紹介した「ドイツ人は、真面目です」CMを若者向けに洗練させた感じ。たぶんドイツでもVWは若者向けのクルマという位置づけなんでしょうね。
http://www.youtube.com/watch?v=5Jby3TTrq8A
http://www.youtube.com/watch?v=HYo0t3jtH0k
これもフォルクスワーゲンですが、お父さん泣かせの感動編。「若者でも買える」というカジュアルさをアピールしながら、誠実に作り込んだストーリーとビジュアルを守り抜いているのがいい。
http://www.youtube.com/watch?v=7UVumfru3Mw
そして最後はポルシェ。うわーおセクスィー! この感性はドイツというよりフランスかイタリア(日本では絶対作らせてもらえない)。ドイツでもやっぱり「男の趣味のクルマ」という立ち位置なのかもしれません。
http://www.youtube.com/watch?v=Xg39kY0muv8
それにしても日本に居ながらにして海外CMを鑑賞できるとは、You Tubeってなんて便利なんでしょう。みなさんもおヒマなときに観てみてくださいませ。
ところで。
なんと、たったいま気づきました!『晴れ、ときどき、クルマ』、今回で連載100回ではないですか!
「クルマのコラムを書いている」と言うと「免許持ってたの?」と言われ、「ドレカ」スタッフの飲み会では某氏に「クルマのネタがなかなか出てこないのによく続いてますねぇ」と言われ、どれもこれもごもっとも、と思いつつここまでヨロヨロと続いてきた自分をほめてあげたい。そしてこんなクルマ音痴におつきあいくださる忍耐強い読者のみなさまをほめてあげたい。ほんとにありがとうございます。クルマのネタがありましたら取材に伺いますので、みなさまからの情報提供・持ち込み企画もふるってお待ちしております。
というわけで、101回目以降もよろしくお願いいたします。
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