先日、札幌市の中央卸売市場へ取材に行ってきました。この話もそのうちアップするつもりだけれど、今日は別の話。
市場の取材ゆえに朝が早く、その日の起床は5:00。もっとも前夜の就寝は2:00だったので、広ぉぉぉい市場の中を歩きに歩いて取材が終わった9:00にはもうフラフラ。この日も深夜残業が確定していたので、パソコンの前で討ち死にする前にインターネットカフェでちょっと仮眠を取っていくことにした。私がよく行くのはノルベサ4Fの「アイカフェ」ね。腰痛・肩こりがピークに達すると、しばしばここのマッサージチェア(これがイイ!)で揉まれながらヨダレをたらして寝ていたりするので、もしも見かけた場合はぜひとも知らん顔していただきたいと思う。
ともあれ場外市場で朝食を食べ、同行したスタッフとともにタクシーへ。運転手さ~ん、ノルベサまでお願いします。
「かしこまりました」
しばらくすると運転手さんが後ろ手に何やら差し出した。
「ハイこれ。札幌の観光マップね」
…………ありがとうございます。
市場の取材ゆえジーンズ+スニーカー姿の私、取材撮影用のカメラをぶらさげた同行者。乗車したのは場外市場のど真ん中。あー、そう見えましたかー。そうですかー。
とっさに互いに目配せをする私と同行者、おもむろに地図を広げてボソボソと話し出す。
これからノルベサに行くでしょー。そのあとどうする?
大通公園が近いみたいだねぇ。
じゃあテレビ塔とか時計台も近いのかなぁ。
運転手さん、札幌ではほかにどんなところがオススメですかねぇ?
「大倉山なんかいいですよ。あとチョコレートファクトリーね。ホラ、“白い恋人”で有名な」
ああー、“白い恋人”の!! どんなところなんですか?
「あ、私が撮った写真があるけど、観る?」
また後ろ手に写真ホルダーが差し出される。
「こないだお客さんを連れていったついでに撮ったんですよ」
わー、お城みたーい♪(笑いをかみ殺す同行者。ページをめくりつつ)
あ、これ小樽ですよね。雪が積もってる。
わー、冬の小樽ってなんかイイ感じー。いっぺん行ってみたいなあー。(うつむいて肩をふるわせる同行者)
「お客さんたち、どちらから?」
(ついに来たッ!)・・・・・・・・・東京・・・・・・・・・です。
この質問が来たときはヒヤヒヤした。「あ、私も東京に住んでたんですよ。東京のどちらから?」なんて言われた日にゃどう返せばいいのかと。しかし幸いなことに運転手さんは生粋の道産子だったもよう。
「あ、そぉー。札幌は初めて?」
あ、いやそのえと、かかか観光っていうか、しっ仕事で来ることが多いんで、あんまり街の中は知らないんですよねぇ。(焦る同行者)
(慌てて話題を変える私)あ、あの、えと、お昼ごはん何食べましょー? やっぱ札幌といえば流行のスープカレーかな。運転手さん、スープカレーでおいしい店知ってます?
「スープカレーねぇ・・・・・・・・・最近いろんな店が集まったところができたみたいですよ。なんていったかな」
(あ~スープカレー横丁ね)
「スープ、スープなんていったかな。スープカレー・・・・・・ランド」
(違うッ!)
「いや違った、スープカレー・・・・・・村だったかなー」
(もうッ、スープカレー横丁だってばッ!)
さ、探してみますね。
じゃあラーメンは? 運転手さんイチオシのラーメン。
「(自信を持って)私はゴジョーケンが好きですね。ススキノのはずれにあるんだけど、スープが独特でうまいです」
(もしかしてゴジョーゲン=五丈原かしらん? まあいいやどうだって……)
ゴジョーケンね。じゃあ今晩呑んだ帰りに行ってみますわッ!
「あ、ここは近代美術館、ここは知事公館ね。知事は今マンションに住んでるからここにはいないけどね」
へえ~。ナントカはるみ知事でしたっけ。マンション住まいとは知りませんでした(本音)。
「そうそう、高橋はるみね。あ、ここが大通公園ね。もともと火事の延焼を防ぐためにこれだけ広い区画幅がとられたそうですよ」
へえ~! それまた知らなかった(本音)。
「ここでヨサコイソーランをやるのね。来月からはビアガーデンが始まるの」
うわーこんな街のど真ん中にビアガーデンですか! そういう時期に札幌にいたいなあー!(間違いなくいるって)
ここが裁判所、ここが狸小路、とクルマを走らせながらプチ観光案内をしてくださる運転手さん。道すがら窓の外に知人を発見して「あっ○△×☆*」と口走る同行者。その脇腹をドツク私。三者三様の思いを乗せて、タクシーは無事ノルベサに到着したのだった。
ともあれ、札幌のタクシーは心あたたまるホスピタリティで観光客を迎えていることを知り、札幌市民としてはなんともうれしい思いでした。タクシー会社と運転手さんの名前を確認しなかったのが悔やまれる。写真ホルダーにさりげなく自分の飼い犬の写真をしのばせていたメガネの運転手さん、あなたは素敵でした。
それにしてもひとときの異邦人体験は新鮮であった。眠気と疲労がなければもっとおもしろい展開にできたんだけどなぁ、残念。ま、なりゆきとはいえ車内もなごやかなムードだったし、悪気じゃないから許してもらえるよね? ね?
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